自覚症状から診断する重症度分類
心不全では、進行ステージによる分類に加えて、「NYHA心機能分類」による重症度分類も頻用されています。
NYHA心機能分類とは、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)が作成したもので、身体活動による自覚症状がどの程度かを基準に重症度を分類したものです。
心疾患はあるが、
普通の身体活動では
症状※がない。
普通の身体活動(坂道や階段をのぼるなど)で症状※がある。
普通以下の身体活動(平地を歩くなど)でも症状※がある。
安静にしていても、
心不全の症状や
狭心痛がある。
※:疲労、動悸、呼吸困難または狭心痛
ステージ分類では次のステージに進むと、もとのステージに戻れません(不可逆的)が、NYHA心機能分類では、治療により改善が可能(可逆的)であり、1つ前の段階に戻れることもあります。
ステージ分類やNYHA心機能分類は概念の異なる分類方法ですが、いずれの分類にしても無症状、軽症の時期からリスクを抑制することと、早期からきちんと服薬することが重要です。
【参考】
一般社団法人 日本循環器学会/ 日本心不全学会:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版). p13
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_d.pdf(2022年10月20日閲覧)
POINT
軽症の時期から積極的に治療することが大切です。
心不全は重症度に応じて4つの段階(ステージ)に分けられていること、重症度別の身体活動による自覚症状、どの段階(ステージ)であっても重要なのは「さらなる進行をさせない対策を講じる」ことであることなど、心不全の重症度についてご説明しています。